内閣総理大臣  小泉純一郎殿
内閣官房長官  細田博之殿
文部科学大臣  中山成彬殿


           憲法九条並びに教育基本法を守ることの声明



  2005年4月4日、連立内閣の政府自民党、新憲法起草委員会は試案要綱を発表しました。それによれば、前文では、「国民統合の象徴たる天皇と共に歴史を刻んできた」と天皇の地位の強化につながる要素を加えています。9条については2項を全面改正し、「自衛のために自衛軍を保持する」と明記しています。集団的自衛権については、憲法解釈で行使を認め、その用件などは安全保障基本法で別途、定めるとしています。また20条の政教分離規定については、国家機関による靖国参拝の違憲性を免れるために、「社会的儀礼や習俗的・文化的行事の範囲内であれば許容される」としています。さらに同年5月11日、文部科学省は、この試案要綱が目指す、国家に恭順な民をつくり出すために、教育基本法改正(案)の仮要綱(案)を与党検討会に提出しました。
  私たち日本キリスト改革派教会 中部中会8.15「平和を守る集会」出席者一同は、下記の理由により憲法9条と教育基本法の改悪に反対であることを表明いたします。

1.九条は国家の絶対化に縛りをかけ、信仰の自由を保障する要である
  わずか60年前、私たちは天皇の名のもとで、アジア諸国を侵略し、その地に住む人民はもとより、自らをも存亡の危機に陥れました。憲法、とりわけ9条は、私たちの国が、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」(憲法前文)、この過ちを再び繰り返さないようにと、自らに縛りをかけるために定められたものです。
  交戦権が国家の手にある限り、基本的人権も国民主権も正しく保障されることはありません。基本的人権の中枢である信仰と礼拝の自由が最も踏みにじられるのは、有事(戦争)の際です。生ける神から授けられた信仰と礼拝の自由は、国家権能といえども奪いとることは許されません。国家がこれを侵すことは、国家が神に反抗する罪を犯すことを意味します。

2.教育基本法は、憲法の精神を生かすためのものである
  現在の教育基本法は、天皇を国民道徳と国民教育の中心においたかつての教育勅語の誤りへの反省から、新憲法の精神を実現するために生み出されたものです。しかし、仮要綱(案)では、「日本の歴史、伝統、文化、固有の価値、日本人としてのアイデンティティー、郷土や国への愛」といった名の下に、国家に都合の良い考え方が強制され、個人の尊厳と基本的人権が踏みにじられ、心への強制が行われることは明らかです。  

3.試案要綱並びに仮要綱(案)の行き着く先は「お国のために」
  試案要綱並びに仮要綱(案)には、共通して我が国がかつて経験した、「お国のために」という国家主義が前面に顔を出しています。このような改悪の行き着く先は、国家権力による国民個々人の心の中への介入と内心の自由を奪うことにあります。こうした事態が、国家の考え方に合わない信仰、思想に生きる国民への弾圧に至ることは明らかです。
 
  歴史の支配者なる神を信じる私どもも、先の侵略戦争に妥協し、協力した罪の負い目を負っています。しかし今、神の御子、主キリストによって罪を赦された私たちは、「殺すな」「平和をつくりだす者は、幸いである」との神の御言葉に聴き従います。それゆえ、この信仰を否定し、私たちが神のみ前に罪を犯すことを強制されることとなる、憲法9条並びに教育基本法の改悪を目指す政府に強く抗議いたします。仮に、私どものキリスト信仰を侵す立法化がなされるならば、私たちはこれに従うことを拒否します。また私たちは、日本と世界に平和を実現するために憲法9条に立って労している、志を共有する市民とともに歩みます。
  「人間に従うよりも、神に従わなくてはなりません。」 (新約聖書 使徒言行録 第5章29節)

 主の2005年7月29日 
            宗教法人 日本キリスト改革派教会 中部中会8.15「平和を守る集会」出席者一同
             中部中会「世と教会に関する委員会」 委員長 井 上 二 郎



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