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【礼拝説教】  「為政者に倣う」  辻 幸宏牧師

ペトロの手紙一2章13〜15節

  13 主のために、すべて人間の立てた制度に従いなさい。それが、統治者としての皇帝であろうと、14 あるいは、悪を行う者を処罰し、善を行う者をほめるために、皇帝が派遣した総督であろうと、服従しなさい。15 善を行って、愚かな者たちの無知な発言を封じることが、神の御心だからです。



T.為政者
 ペトロは、主による救いに入れられ神の国に招かれている者として、この世にあっても救いの感謝と喜びをもって、主を証しする立派な生活を送るように語ってきました。そして13節以降で具体的なことが語られます。その最初が世に定められた制度に従うことです。その例として、皇帝、総督というローマ帝国における当時の統治者が記されており、為政者に従うことが全面に出てきます。しかしここで語られている制度とは、為政者のみならず、この世に立てられている全ての制度に従うことが求められているのです。
 主なる神さまは、天地万物を創造され、今なおその全てを統治されています。ヨブ記で理解できますように、サタンも主の許しなしには私たちに働きかけることは出来ません。ましてや為政者も、悪を行う者を神に代わって処罰し、善を行う者をほめるために主によって立てられているのであり、主の栄光のために働くことが求められているのです(参照:ウェストミンスター信仰告白23:1、ローマ13:1)。つまり主は、霊的に統治し人々の信仰を保つものとして教会を立てられ、同時に社会の秩序を保ち人々の生活を守るために為政者を立てておられるのです。古くから為政者と教会との間に権力争いを生じさせました。宗教改革の時代など激しな議論があり、国家による教会(宗教)の支配は現在的な問題でもあります。しかし主なる神さまが、一般の世的な統治を国家に託し、霊的統治を教会に託し、その両者は上下関係はなく、統治分野が異なります。政教分離という言葉がありますが、国家が教会や宗教を支配してはならず、逆も然りです。

U.制度に従うこと、罪との問題
 当時のローマ皇帝は、キリスト者を迫害していた当事者です。キリスト者は迫害に耐えつつ信仰生活を続けていました。それでもなお主は、上に立てられた権威者に従うべきだと語られます。なぜなのか? キリスト者は、主を証しするため、為政者に対して無条件に従うことが求められているのでしょうか?決してそうではありません。為政者に従うことは、主のしもべとして、主の御言葉に聞き従うことが前提です。つまり、主の御言葉(律法)に逆らった命令を、為政者が命令する時、キリスト者は、為政者に従うことではなく、主の御言葉に聞き従うことが求められているのです(参照:ダニエル3章、出エジ1:17)。
 こうしたことから、キリスト者(教会)が、為政者(国家)との関係はどうあるべきかが明らかになります。現在、様々な事柄が政治的に問題とされています。しかし私たちは個人的に気に入らないことであっても、キリスト者は為政者の決定に従うことが求められています。一方、為政者の決定により、主の御言葉に反することが求められる時、キリスト者は、その決定に対して「否」を語ることが求められるのです。その第一が、偶像崇拝に関わることです(十戒第一の板)。また、戦争反対、平和について教会が訴えていくことも、これにあたります(十戒第二の板)。主が求めておられることは、弱い者に対する愛であり、和解することです。相手が誤りを犯しているのであれば、忠告し、戒め、悔い改めを待たなければなりません。それでも相手が聞き従わない時、最終的に罪の裁きは、主に委ねるべきなのです。戦争行為は、第二の板のどの戒めにも反する行為です。

V.救いにあるキリスト者の態度
 ペトロは「善を行って、愚かな者たちの無知な発言を封じることが、神の御心だからです」と語ります(15)。私たちキリスト者が、主の御言葉によって示された正義を貫き、真理を貫くことにより、時として主の受け入れ、罪を悔い改め、信仰に入る者も与えられます(12)。しかし決して信仰に導かれない者であっても、キリスト者によって主が証しされることにより、自らの無知、罪が示され、主による裁きが示される必要があるのです。最終的な罪の裁きは、私たち自身の手で行う必要はなく、主が成し遂げて下さいます。その時まで、キリスト者として忍耐が求められるのです。しかしそうしたキリスト者の信仰を、主は良しとして下さり、神の民に相応しい者として下さいます。
 私たちはこの後、主の晩餐に与ります。私たちはキリストの十字架による罪の赦しと救いに与っています。神の国の永遠の主の祝福に満ちた生活が約束されています。だからこそ、どの様な時にあっても、主の御言葉に聞き従い、主を証しする者として世に立てられた為政者や全ての制度に従う者でありたいものです。

                                     (2008.4.13)
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